309 / 1053

第8章の31

「何だよー、真樹だって恵理ちゃんにメールするんだろー! 」 「ああ、そうだよ。」 2人で吹き出した。が、すぐに麻也は、 「さっきもそうだけど、食事の時間が心配なんだよね。 みんな煙草スパスパですごかったじゃない? 諒の喉に悪いだろうと思ってさ…」 バンド活動のために煙草代もケチっていたメンバーたちには喫煙の習慣がないので、 打ち上げや何かの時の副流煙は、まったくもって迷惑なのだ。 「そういやなんか最近、兄貴も諒もいっそう色っぽくなったって言われてるみたいだよ。 愛の力ってのは偉大だねえ…」 「いやいや、もしそうだとしても、やっぱり人に見られることが多くなったからだよ… …って、誰がそんなこと言ってたの? 」 「社長とか、柴田さんとか、いろんな人。」 と、言いながら、何気なく、酔った真樹は鈴木が忘れていった 「ファンからの手紙やプレゼントの山」から、1通の封筒を引っ張り出した。 男っぽい迷彩柄だったので、麻也ではなく自分あてのものだと思って開けたらしいが… 「魔夜姫様、略奪愛ですねって、なんだこりゃ…」 またか…と麻也は思わず顔をしかめた。 「兄貴、ファン、いや、こんなヤツファンじゃねえや、 一般人からもこんなこと言われてるの? 」 も、というからには、真樹は業界人から何か言われていたのだろう。 「あのテレビのすぐ後、大阪のキャンペーンの時以降ね。 あと、営業ホモだろうとか、見苦しい、とか。 だから最近、須藤さんから俺に渡されるファンレターの数は少し減ったような気がするよ。 そういう悪口、多いんじゃない? 」 「兄貴…」

ともだちにシェアしよう!