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第8章の31
「何だよー、真樹だって恵理ちゃんにメールするんだろー! 」
「ああ、そうだよ。」
2人で吹き出した。が、すぐに麻也は、
「さっきもそうだけど、食事の時間が心配なんだよね。
みんな煙草スパスパですごかったじゃない?
諒の喉に悪いだろうと思ってさ…」
バンド活動のために煙草代もケチっていたメンバーたちには喫煙の習慣がないので、
打ち上げや何かの時の副流煙は、まったくもって迷惑なのだ。
「そういやなんか最近、兄貴も諒もいっそう色っぽくなったって言われてるみたいだよ。
愛の力ってのは偉大だねえ…」
「いやいや、もしそうだとしても、やっぱり人に見られることが多くなったからだよ…
…って、誰がそんなこと言ってたの? 」
「社長とか、柴田さんとか、いろんな人。」
と、言いながら、何気なく、酔った真樹は鈴木が忘れていった
「ファンからの手紙やプレゼントの山」から、1通の封筒を引っ張り出した。
男っぽい迷彩柄だったので、麻也ではなく自分あてのものだと思って開けたらしいが…
「魔夜姫様、略奪愛ですねって、なんだこりゃ…」
またか…と麻也は思わず顔をしかめた。
「兄貴、ファン、いや、こんなヤツファンじゃねえや、
一般人からもこんなこと言われてるの? 」
も、というからには、真樹は業界人から何か言われていたのだろう。
「あのテレビのすぐ後、大阪のキャンペーンの時以降ね。
あと、営業ホモだろうとか、見苦しい、とか。
だから最近、須藤さんから俺に渡されるファンレターの数は少し減ったような気がするよ。
そういう悪口、多いんじゃない? 」
「兄貴…」
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