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第9章の6

「…麻也さんて、想像以上にだらしなかったんだな、って。 土地土地でファンに手を付けて。それも口の軽い、バカみたいな女。 俺とのことだって、俺の方から押し倒したから惰性でヤってんのかなって…」 「それだけは違うよ! 俺、人生で一番愛してるの諒だから! いや、諒しか愛したことないって言ったじゃん!  それに、そんなの、諒の結婚の件で、わかったことなんじゃないの?!  何のためにお互いペンダントもつけてんだよ! 」 諒はかなり心を動かされたようだったが…でも、また苦しげな表情に戻ってしまう。 麻也は仕方なく、 「あのさ、真樹にも言えなかったんだけど、恭一に訊いてもらえばわかるけど、 前のバンドの頃、俺たちはひっかける女の子たちを『魔除け』って呼んでたんだ。」 「『魔除け』…? 」 「そう。」 話すのがつらい過去。でもここまでなら何とか… 「その…前の事務所は何事にもだらしなかったし、 変に「両刀使い」ってキャラ設定もされてたし… もう二度と話したくないことだから、真剣に聞いてね。」 「麻也さん…」 諒の表情が動く。 「その…常にメンバーにオッサンたちも寄ってくるんだ。」 「何それ…」

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