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第9章の9

 数時間後にはその客席が観客でいっぱいになり、 両手をあげてみなステージ上のメンバーたちを求めてくれている。  大好き…もっと、もっと、と…  爆音の中で演奏し、歌い、諒と求め合い、 客席のファンたちと触れ合ってライブは終わる…  まだ2本目のライブで、本当に疲れはしたのだが、 これからの展開上、麻也は楽屋に引き上げて来るなり、床の上に倒れ込んだ。 「麻也さん、大丈夫ですか?! 」 あわててスタッフが駆け寄ってくる。 メンバーたちはまだそんな心の余裕を取り戻してはいない。 「…ごめん、途中からすごくだるくなって…」 「打ち上げ、大丈夫ですか? 」 「…悪いけど絶対ムリ…」 スタッフに手伝ってもらってメークを落とし、ステージ衣装から着替える。 そして別室には顔は出さず、サブマネの鈴木にホテルまで、送ってもらうことになった。 振り返ると、みんな口々に、気をつけてね、と言っていたが… 共犯の諒の目だけは笑っているのが見えた。

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