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第9章の11
麻也はびっくりして立ち上がり、
「えーっ、諒、どうしたの?! 」
しかしそれに諒は答えず、バスルームのドアを開け、電気をつけ、
中に誰もいないか確かめている。
それが終わると、ベッドカバーをめくりあげ、下に人が隠れていないかチェック…
麻也はショックだったが、それで諒の気が済めばとそのままにさせた。
それがひと通り済むと、諒は麻也の目の前に立ち、
「どれどれ、お口のチェック…」
と、唇を重ねてくる。
深い、深い、ディープキス…
麻也は嬉しくてされるがままになる。
そしてひとごこちつくと、2人は抱き締めあった。
ようやく諒も気持ちがリセットできたのかな、
と思うが、麻也からは何も言えず、諒の次の言葉を待つ。
「俺も具合悪いって、一次会、中抜けしてきた。」
「そうだったんだ…」
「ね、麻也さん、お腹すかない? 俺もうペコペコ。」
「え? 食べてこなかったの? 」
「だって麻也さん待たせてるのに、俺だけ食べるわけにはいかないでしょ? 」
と、ルームサービスのメニューに手を伸ばすと、
「麻也さん、何にする? シャンパンでも頼む? 」
「え? 諒、飲めるの? 」
「いや、俺は飲まないけどさ、麻也さんつきあわせるのも悪いかと思ってさ。」
「じゃあ俺も飲まない。」
…明日の打ち上げで飲むから…という言葉はあわててのみ込む。
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