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第9章の12
料理が運ばれ、食べ始めると、どちらからともなく、忍び笑いがもれる。
「何かすっごくいけないことしてるみたいで楽しいね、麻也さん。
俺、ツアー中ずっとこうしてたいな。」
エビチリをすくいあげながら麻也も、
「…2人きりで隠れてる感がいいよね。何か2人で逃避行みたい。」
すっかり諒の機嫌は直ったように見えた。
が、しかし…ベッドに入る段になって、珍しく諒はゴネた。
「麻也さん、本当に俺のこと愛してんの? 」
「もちろん。」
「やだ。ちゃんと『愛してる』って言ってよ。」
「諒、愛してるよ。」
「んもー、たまには麻也さんの方から誘ってよっ。」
「ごめんね、諒、こんなに愛してるから許して…」
と、諒を抱き締め、優しく唇を求める。
それから諒の耳たぶを甘噛みし、首すじも吸い上げる。
諒はすぐに切ない吐息をもらし、
「…麻也さん、こっちでして…」
と、自らベッドに横たわると、覆いかぶさる麻也に腕を回す。
「麻也さん、俺だけを見てて。他のヤツのことなんか考えないで。」
「わかってるよ。そして、俺もおんなじ気持ちだよ。」
と、諒を見つめてからあやすように唇を南下させていく。そして諒の胸元で、
「俺たち、浮気はしないって誓って、記録更新中なんだよ。」
「ほんとだ…でも、俺、麻也さんにも疑われたし、俺も疑ったけど、
本当に人との出会いが多い商売だから…心配になるよ…」
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