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第9章の15

諒の腕が伸びてきて、抱き寄せられ、右の頬にキス。 そして、両手で顔を包まれ、顏は上向きにはされず、 でも舌が入ってくるので、麻也も舌で応えてねっとりとしたキスになる… と、顏を離した諒は、 「…これで色っぽさ充填完了っと。んで、今日のチューはこんな感じでお願いします! 」 ああ、大翔くんのこと、頭から追い出さないと気が済まないんだ、と改めて麻也は思う。 諒の個性「毒のあり過ぎる色気」は「健全な子供の世界」とはかけ離れすぎてるもんね… 「ん? 麻也さんどうしたの? このチューに異議あり?…」 「ううん。じゃあ、そろそろみんなと合流しよっか? 」  会場入りすると、まずは、ケータリングの弁当を食べながらの反省会だった。 「…そういえば、諒も兄貴も、今日は体調どうなの? 」 真樹に言われて昨夜の仮病を思い出した… 諒がどうにか、 「ひと晩寝たら良くなったみたい。ね、麻也さん? 」 「うん。カゼ薬が効いたみたい。」 「じゃあ、今日一日頑張ればオフだから頑張ろうね。」 「うん。今日は初めての場所だから、流し目頑張ります! 」  そして、いつも通りのリハーサル。  今日は幸いなことにトラブルはなかったが、 これが本番でもトラブルがないということにはならないので、注意は怠らない。  そして衣装に着替えて、ヘアメイク… 結局は諒とキスする頃には、汗ででろでろになってしまうのだが… でも、それすら「美しい」のがライブなのだ。

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