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第9章の27
「うん。オヤジが撮ってくれてさ…」
と、諒がバッグから取り出したのは、一枚の小さいポラロイド写真だった。
金髪に黄色いTシャツの諒が、大翔を膝にのせて笑っていた。
あんまり似て見えないが、諒の子供の頃の写真には似ている気がする。
「ロックな父ちゃんだね…でも、いい写真じゃん。帰る時は泣いたりしなかった? 」
すると諒は不満そうに、
「それがさ、<またきてね>ぐらいの感じでさ…」
イジワルにも、少し安心してしまう。
「まあ、あっという間に大きくなって、じっくり話せる日が来ちゃうよ。
それまでは仕方ないんじゃない? 」
「うーん、そうかなあ…」
シュークリームを食べ始めると諒は、
「すっきりした顔してるけど、麻也さんの方は? 」
「あ、さっきシャワー浴びたからじゃない? 」
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