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第9章の28
「俺がいなくて寂しくなかった? 」
「寂しかったけど、それなりに充実してたよ。」
「具体的には? 」
早く食べて、諒をシャワーに入れなければ、と麻也は内心焦っているのに、
しつこい本人である。
「ま、大人の休日、ってとこかな。」
飲んだとは言いづらいので、お茶をにごしたつもりだったのだが…
「何それ、オトナの休日、って。
エロビデオとか? おねーちゃんのいる店に行ったとか? 」
「何でそういう発想になるんだよ。」
どうして諒にそんな風に勘ぐられなければいけないのか、理解に苦しむ。
やきもち妬くのはこっちの方なのに…
「新宿二丁目に行ったとか…」
「ふーん、逆に言えば、諒は俺が留守だとそっち方向に走るんだ。」
と、言われて諒も我に返ったらしく、
「…すみませんでした…」
もう、ここまでハードルを上げられると、かえって告白しやすいかも…
「あのね、ベランダで、昼間っからビール飲んでたの。
1本だけだけど。あとワインを少し。」
すると、諒はほっとした表情になり、
「なーんだ、そんなことか…びっくりしちゃった。」
「諒、ごめんね。」
「いえいえ、それくらいはいいですよぉ。」
「じゃあ、早くシャワーすませちゃいなよ。」
「もう、麻也さんたら♪ 」
「そうじゃなくてっ! 明日の準備もあるんだろ?
出発だって早いし…」
…それからの諒の行動は早かった。
あっという間にシャワーを済ませ、準備を済ませ…
気づけばいつものように全裸で2人でベッドに入っていた。
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