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第9章の33
次の日のミーティングでは、セットリストを変えようかという話も出た。
前回の30か所ツアーの時より曲が増えていて大変だが…
「初めてのところは、楽しい楽しいでかなり押していかなきゃだめなのかなあ? 」
「うーん、様子を見ながら少しずつ変えていくしかないだろうねえ…」
「出たとこ勝負もあるしねえ…」
「そのうちカンどころもわかってくるよ。」
と、麻也は言ったものの、本当はそう悠長に構えてもいられないのだが…
しかし、諒を慌てさせないために麻也は言ってみた。
「あと、東京から追っかけてきたファンのノリが客席に広がったりとかね。」
と、麻也たちはロックらしい曲、マニアックな曲の順番を変えた。
でも麻也はこう言うのも忘れなかった。
「あとはいつも通り、丁寧にやっていこうね! 」
ライブは魔物、で、二度目、三度目の公演地でも、
メンバーの中では納得のいかないライブもあった。
しかし、麻也が少ない経験から語ったように、
しっかりと自分たちらしいライブをやって、
全国をディスグラ色に染めていくしかないのだ。
前回よりもチャンスが増えたことを喜ぶべきだった。
が、ツアーが長いと、東京に戻る機会もあるとはいえ、
やはりどこか新鮮さが欠ける生活になってしまう。
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