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第9章の36

「ファイナルの武道館! がんばっていきましょう!」 「おーっ!! 」  円陣から弾け飛ぶようにして、メンバーがステージに上がっていく。 歓声はもとより、観客の充満するパワーがもうすでに半端ではない。 「キャー!!! 」 始まってる、始まってる、挨拶代りのヒット曲、「ディスティニー」が! あっという間に武道館全体が揺れ始め、そこに諒のボーカルが乗ってくる。 「キャー!!! 」 …麻也のギターソロの後ろで、諒は大きく目を見開き、客席を長い両手であおるが、 その瞳の奥の冷ややかさがサディスティックでたまらない、 とは、後々発売されたビデオを見たファンの語り草だ。 そして、アンコールではお約束の「マジェスティック・クラウド」… でもこの日は、ビデオのために、残念ながら愛撫とキスは濃さを控えた… ビデオでディスグラを初めて見るかもしれない人を、驚かせないために… ステージはひときわ派手なレトロフューチャー風の電飾、照明、 特効で舞い散った銀色の吹雪、 そして、これまで47本のライブで鍛え抜かれたメンバーのオーラ、 そして地元・東京ならではの…と、地方まで追ってくれたファン、 地方から来てくれたファンのおかげで、 ライブはほぼ完ぺきなものとなった。 舞台のそでに去っていく前に、 諒と麻也が抱き合って長いキスを交わし合ったくらい…

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