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第9章の39
「あれ…」
「どしたの、麻也さん? 」
ここで女の子のことに触れるとまたややこしくなると思い、麻也は何も言わなかった。
が、今度は諒に女の子たちが群がってきた。
「諒さん、二次会行くんですかあ? 」
「行くよお…」
と、言うが早いか、麻也を抱き寄せ、耳元にキスして、
「この可愛いお兄さんが行きたいって言うから行くよ。」
「やだあ、ライブ終わってまでそんなことするんですかぁ…? 」
「だってデキてんだもん、仕方ないじゃん。売れる前から一緒だもん。」
「でも、諒さんてお子さんいるんですよね? 」
そこで地雷を踏むなよ…麻也はイラっとしたが、
諒はすましたもので、
「だって、親が決めた許嫁だったんだもん。
跡継ぎ生まれたから、さっさと別れたし。」
「えー、うそー、江戸時代みたい~」
諒が冗談に紛らせているところに、ライターの柴田が通りかかったので、
麻也は女の子の肩越しに、強引に呼び止めた。
すると女の子たちはそれを気にして、
「じゃあまたあとで。でも私、諒さんのこと諦めないから…」
それを諒はサービス用の極上の笑顔で、軽く手を振って見送った。
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