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第9章の47
「諒、禁酒を本当にありがとう。かんぱーい!」
そう言われて、缶ビールを思い切り飲み干した諒の笑顔はとてもさわやかで、
とてもいつもの「セクハラド色気ロックボーカリスト」とは思えないものだった。
「なんだかさあ、ツアーの途中からは、俺の目には願掛けみたいにも見えてたよ。
そういう意味でもありがたかった。」
麻也がそう言うと諒は、
「そう言ってもらえると何だか嬉しいな。
気持ち的にはちょっとキツかったけど、ノドの調子は良かったかも…
ただそれでも最後の方は体力的にキツかったから、体力つくりは課題だね。」
「うん、俺もそうだな…」
ベッドに入って明かりを消してしまうと、諒はしみじみとこう言った。
「麻也さんのおかげで武道館に2回も行けちゃって…
本当に感謝してます。ありがとうございます…って面と向かって言えなくてごめんなさい。」
「いいよ、そんなの。2回も行けたのは諒の実力と、みんなのパワーが結集できたからだよ。
明日からも俺も頑張るけど、諒も頑張ってね。」
「はいっ! 」
と真面目に言われて、麻也の方が照れてしまったのだが…
また諒は、恋人らしい優しさで抱き締めてくれた。
そういえば…おかげで…ライブの後の困ったほてりはなくなっている…
「麻也さん、飲む? 」
「冷たっ! 」
目を開けるとそこには缶ビール…そして、朝の光…
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