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第9章の48
ボクサーブリーフに、コットンのシャツをひっかけただけの諒が、
椅子に座って、美味しそうにビールを飲んでいた。
でも麻也はまだまだ疲れていて…
「ごめん、諒、俺もう少しうとうとしていたい…」
「うん、いいよいいよ。じゃあ、俺もこれ飲んだらベッドに戻ろうかなあ…」
「…諒、今日のご予定は? 」
「なーんにも考えてません。ノープランの幸せ。」
「…ほんとに幸せだね…」
…本当は仕事のことを考えなくてはいけないのだろうけれど、
オフの初めの3日間くらいは穏やかに過ごしたい…
…そのうち、ビールを飲み終えた諒もベッドに戻ってきて、それを見届けると、
麻也はまた眠りに落ちてしまった…
「…麻也さん、3時過ぎてるけど、メシでもデートがてら…」
「…うう…外、暑いんでしょ? …めんどくさい…」
「お腹空いてないの? 」
「それは空いた気がする…」
「明日から頑張ると言ったのは、仕事のことだけなのね…」
諒は姫の性格をあらためて思い知らされて、諦めたらしい。
「じゃあ俺、変装してチャリで買い出し行ってくるわ。」
「悪いけどよろしく…」
麻也はタオルケットにもぐりこんだまま、諒に手を振った。
が、諒は、
「こういう時には、車欲しくなるね…」
と言ったきり、立ったままでいるようだった。
今、答えを出せと言われても…
麻也は適当に、
「ベンツとかいいんじゃない。諒、似合いそう。」
「フェラーリとかじゃなくて? 」
「うん、それについてはまた今度…」
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