373 / 1053
第9章の51
「じゃあ、それで行こうよ。」
「麻也さんも同じ日、実家に帰省したら? 」
「いや、俺はいいよ…オフクロのおしゃべり聞くのかったるいし…
真樹も一緒ならまだしも…」
「あ、それなら俺が真樹にアポ取るからさ。」
「もー、それって一晩俺を一人にしないためじゃん…」
麻也が抗議しているのにも構わず、諒はさっさと携帯を取り上げた。
「あー、もしもし真樹? あのさあ、あさって、いや、その次の日…
え? 恵理ちゃんと旅行中? それは失礼しましたあ…」
諒はがっかりして電話を切った。
「真樹はマメだなあ…」
「いや、アナタがマメじゃないだけで…」
「それが好きだと言ったのはどこの誰? 」
「そこじゃないんだけど…好きなのはワタクシです。」
しかし、麻也には気になることができた。
「諒、誰と飲みに行くの? 」
「ああ、『サティスファクション』の山田さん。」
麻也たちより7~8歳くらい年上の、テレビやイベントで共演しているボーカリストだ。
音楽的には聴きやすいロックのバンドだが…
「ずっと会うたびに飲みに行こう、って言って下さって…
昨日の打ち上げでようやく約束できたの。
いろいろアドバイスとか聞けるかもなんだ。」
ともだちにシェアしよう!

