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第9章の58

「何で慰謝料なの?! 子供への責任はおあいこじゃん!  それとも諒が無理に頼み込んで作った子なの?! それとも諒が無理やり…」 と言いかけて、気分が悪くなり、麻也は目の前のテーブルに突っ伏してしまった。 (諒がそんなヤツだったら俺は…) 諒もびっくりして、あわてて麻也を抱きかかえると、 「麻也さん! ちょっと、大丈夫?! 話は後にしよう…」 「…嫌だ…」 それで諒も仕方なく麻也をソファに横たわらせた。 「…こんな話いやだけど…俺は、女の子も苦しめるのは嫌だったから、 関係を持つときは、細心の注意を払ってたつもりだったのね。 それなのに、大翔ができたから、あっちもこっちも驚いたんだよ。」 「それなのに、ホントに諒の子なの? 」 「うん。ウチのいろんな人にも似てるし。血液型も問題ないし… あっちもきちんとした人たちだし…」 「でも、大翔くん育ててるのは諒の家で、 養育費だって全部諒が出してるじゃん。 それなのに何で…? 」 悔しさがこみ上げてきた。そう、この問題で自分の中に生まれたもやもやはそれなのだ。 「何より、どうしてそんな大きい問題、俺に教えてくれなかったの?  パートナーとか言っておいて、ひどいじゃん…」 「…確かに麻也さんは大事な人だけど、社会的な責任まで分担させるわけにはいかないじゃん。」 「どうして? その…大翔くんは、俺のせいで…授かったらしいとも聞いたしさ… 俺だって、諒の子供だからできればもっと可愛がりたい気持ちだってあるしさ…」 諒の表情は相変わらず複雑だった。 「そうだけど、それは嬉しいけど、俺、まだ、麻也さんのご両親にだってご挨拶してないんだよ。 もっと仕事で実績出したら、もっときちんとパートナーらしくするから。それまではこの借金の件は…」 「でも、俺、借金はともかく、大翔くんには今から少額でも貢献したいよっ。」 「それはほんとに嬉しいけど、麻也さんの収入はまずは麻也さんのものでしょーが。」 だけど、2人の小遣い格差は絶対にデートとかに影響してくるだろう… 「…わかった。諒、俺、諒に下宿代払うよ。」 「げ、げしゅくだい? 」 「そう。俺、家のこと、諒に何でもやってもらってるから。 諒は家では下宿のオバサンのバイトをやるのと同じ。その代金なら受け取るの気にならないでしょ? 」 「…う…ん…」

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