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第9章の58の2
「そう。俺、家のこと、諒に何でもやってもらってるから。
諒は家では下宿のオバサンのバイトをやるのと同じ。その代金なら受け取るの気にならないでしょ? 」
「…う…ん…」
でも、諒は寂しそうな表情になり、
「でも、そしたら、麻也さんはこの愛の巣になんにも手を入れてはくれないの? 」
そう言われた麻也は、それもあんまりだとは思ったが…
「うーん、俺は何にもできないしなあ…そのうちクルマ買ったら洗える…
あっ、俺、磨くとか洗う、とか好きかも。バスタブとか、窓、とか、テレビとか…」
「あっ、それいいじゃん…」
「じゃあそれをやるね。とにかく、助け合いだけど、諒の方が早く動いてくれちゃうからさ。」
すると、諒はちょっと不満そうな表情になり、
「あのー、せめて名称は『執事』にお願いできないでしょうか? オバサンはちょっと…」
麻也は大笑いしてこう言った。
「あ、王子、でいいです。王子と王子の共同生活でまいりましょう…」
諒も嬉しそうに笑ってくれた…
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