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第9章の60

 …あれ以来、幸いなことに、お金の問題は現れていない。  ツアー中は全部食事も宿も事務所持ちだし…  …と、せっかく諒がいないのだから、 シンデレラみたいに掃除くらいしておけばいいのになあ…と思いつくも… でも…諒がいないと…何にもやる気が起きないような… いくら「磨き」や「片付け」が少年野球時代に身に着いたもので、 恭一との暮らしでも役立っていたとはいえ…  まあ、ツアー後、昨日のハードなデートの疲れもあるから、ぼーっとしていたが…  思えばミュージシャンの飲み会は長い。  でも、山田さんと2人きりと聞いていたし、開始時間は早かったのに…  シャワーも浴び、もう寝るくらいしか…と麻也が思う頃になっても、諒は戻ってこない。  下ネタ連発でシメられたとか…  心配になって何度か電話したが、圏外らしい…  まああの図体だし、ケンカは強いらしいから…  でもやっぱり、浮気が心配…先輩に迫られて断れ…  そこで嫌になって、麻也はいったん考えるのをやめた。  …でも、ありがちに、酒の勢いで女の子とよろしくなっちゃったとか… (そんなことあったら、ぶっ殺すっ!!!)  「もー、4時だよ、寝られないじゃん…」 いや、思えば諒は寝ていていいとは言ったのだ。 (でも、寂しいもん~)

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