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第9章の68
次の日は一人だったので、麻也はラフにツアーの反省をノートにまとめた。
次に、今度の4枚目のアルバム―麻也が初めてプロデュースする―の制作のコンセプトをラフに決めることにした。
そのコンセプトとは、ずばり、前作を上回る、ミリオンセラーになるアルバム。
「また諒に何か言われそうだなあ…」
時代の半歩先を行け、とはよく聞くが、確かにそれはそうなのだが、
向いて行けばいい方向というのが、実はよくわからない。
今のところ、たまたま麻也の研究の成果が当たっているのにしか過ぎない。
しかし、その実績があればこそ、渋々ながらでも諒は、自分なりの<ポップ>を書いてはくれている。
でも、それでさえわかりづらいと言われた今回のツアー。
諒にはますますポップを意識して書いてもらうしかないかも…
「でも、俺たちが演奏すれば、何でもディスグラ色になっちゃうんだけどな…」
この言葉を麻也は急いでメモした。
絶対に諒に言い忘れることが無いように。
…とはいうものの…ルーツの音楽は比較的に通っているはずの諒と自分が、
表現したいものは全く違って…
この前諒から聞いた、立原のバンド解散の理由が思い出される。
(音楽性の相違、か…)
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