393 / 1053

第10章<青空の誘惑>の1

 次の日は、麻也は「珍しくも」会議室に一番乗りだった。 「どうしちゃったの? 」 次にやってきた真樹は笑いながら、恵理と一緒に選んだという沖縄みやげを手渡してくれた。  その後、元気な直人と…ちょっと顔色が悪い諒が笑顔で入ってきたので、 嬉しくなった麻也は思わず立ち上がり、 「諒っ! 」 「麻也さんっ! 」  と三日ぶりにハグ…と思ったら、ぎゅっと抱きしめられてディープキス… 嬉しすぎる…が… 「社内はキス禁止っ! 」 社長が入ってきて、2人は引き離された。 「…ったく、家とライブだけじゃ足りないのかっ! 」 すると諒が、 「だって俺は、実家でずっと寝込んでたんです。」 「えっ? 大丈夫か?…」 「ようやく昨日病院で抗生剤もらったんで…風邪でした。」 「ああ、それで麻也とも数日ぶりで…ったって、コレはダメ! 」 てへっ、と2人は舌を出し、他の人間の冷ややかな視線を浴びながら、 隣り合って席に着いた。  そのうちに、レコード会社の担当や、舞台監督たち、プロデューサーの木内たちもやってきて、 …まずはツアーの反省会が始まった。

ともだちにシェアしよう!