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第18章の42★諒の態度が不安な麻也王子

 ふらふらしながらギターを弾いていた麻也が言えた義理ではないが、 今日の諒はひどかった。  歌詞は飛んでしまうし、声も思うように出せていなかった。 須藤が珍しくハラハラしていたから、彼は何か知っているのかもしれないが、 いい話ではないのは明らかなので、だるい麻也には尋ねられなかった。  食事の時間になっても、諒は誰とも口を利かず、しかし食欲もないようだった。 麻也の方を見もしないのは何かあるのだろうが、見当はつかない。  が、そんな諒に、というべきか、だからこそというべきか、 真樹はいつもの調子で、 「諒、今日兄貴はウチに泊まってもらうから。 昨夜カゼひかせちゃったから、責任取るから。」 ああ、わかった、そう答える諒の力のなさはびっくりだったし、麻也の方は全く見てくれない。 また浮気がらみの噂でも聞かされたのかもしれない、と麻也は思った。 しかしあまりに沈んだ空気なので直人が、 「その様子じゃ、諒もカゼなんじゃないの? 」 ああ、そんな気もする、と諒はまた元気なく答えると、今日は早く寝るよとつけたした。  …諒の反応がそんなものだったので、麻也は堂々と真樹の家に泊まったが… (…結局今夜も薬なしかよ…) 寝る直前に気づいた。明日のだるさはどの程度になるのか、考えただけでぞっとする。

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