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第10章の8

いやいやいや、と思案中の麻也以外のみんなが苦笑した。 それを聞いて社長自身も、そういやそうか、と16歳のヤバさを認識したようだが、 「それに諒、万が一向こうが誘惑してきても、麻也が拒否すればいい話だろ?  それともお前、そんなに自分に自信がないの? 」 「話をそらさないで下さい! 」 怒る諒の手を、麻也や優しく握りしめ、微笑みかけた。 「諒、大丈夫だよ。ねっ? 」 「おーっと、ここで魔夜姫スマイル。」 直人がからかうと、真樹は嫌そうに、 「兄貴、まだ昼間だよ…」 えへっ、と照れた麻也は手を引っ込めようとしたが、 今度は諒がそれを握って離さない。 すると社長が、 「…ってことは、麻也は引き受けてくれるのかな? 」 「あ…」 ローベルの仕事は、いくら伊尾木がらみでも嫌。 でもタイアップはほしい… 「ちなみに俺がやって全くヒットしなかったらどうなるんでしょうね。」 すると、社長は意外にもあっさりと、 「ヒットまで確約する契約書じゃないから、 ま、次から仕事か来なくなって終わり、なんじゃないかな。 特に2世タレントの方は、親の有名俳優さんへの義理が立てばいいらしいし。 だからまあ、麻也の余力でちゃちゃっとやってくれればいいから。」

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