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第10章の9
でも、諒は反論してくる。
「でも、ヒットしなければイメージダウンだし、ヒットすればしたで、
何だかバンドのイメージ下がりそうだし…」
諒はさらに何か言いたそうだったが、麻也は決心した。
「…タイアップ、三つとも欲しいんでやります。」
…諒の手が、離れた。
「そうか! やってくれるか! 」
社長は大喜びだったが、無理やりじゃん、と真樹は不貞腐れて横を向く。
「でも社長、本当は俺には荷が大きすぎます。
スケジュール調整その他、バックアップはしてもらいたいです。」
と、麻也は付け加えるのを忘れなかった。
が、諒は、
「俺は納得できませんから、協力は一切できないです。」
と、冷ややかに言い、そしてさらに冷たく、
「…何よりそんなセンスのない仕事をするプロデューサーで、
作曲者である人の曲なんて、俺は歌いたくないですね。」
「諒…」
場の空気が一気に凍りついた。
しかし、麻也は冷静にそれを受け止めていた。
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