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第10章の10
(…あのことを…直接傷口を広げるわけじゃない。
諒にはっきりと知られはしないだろう。
だったら、俺はミリオンに近づきたい…)
そして、まっすぐ前を向いたまま、落ち着いてこう言った。
「まあ、そんな諒クンの気持ちが変わるほどのいいサウンドを、
ディスグラにはもちろん、外部にも提供することをお約束します…
社長、先に進めて下さい。」
と、大人らしい余裕の笑みを浮かべた。
諒は青ざめ、みんな騒然といった感じになったが、これ幸いと、社長は話を本筋に戻した。
が、真樹と直人はハラハラしながら2人を見比べている。
しかし、その後も麻也と諒は対立し続けた。
「麻也さん、もう少しポップに、って、
それじゃアイドルや歌謡曲みたいになっちゃうじゃん。」
「諒が作るんだから、そんなことにはならないよ。基本が全然違うんだから。」
「いーえ、プロデューサー様の音選びが心配です。あと、麻也様のポップ度も。」
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