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第18章の44★下宿になりそうな麻也王子
「先生、3か月でいいんです。このまま走り続けられれば。
そういう即効性のある薬ってないですか?
ツアーが終われば倒れたっていいんです…」
またバカなことを…と真樹はうんざりしたように言い、医師はきっぱりと、
「そういう薬はないです。もし今後そういうものを見つけたり、
人にすすめられたりしても、危険ですから、絶対に使わないでくださいね。」
真樹も鈴木も念を押された。さらには、
「一緒に暮らしている方…彼氏さんにはこのことは話してあるんですか…? 」
「…その、彼には、知らせてないし、知らせられなくて…」
腕組みをして下を向いている真樹の困惑も麻也には伝わってくる。
「その彼氏さんが原因ということは…やっぱりカウンセリング受けま…」
「いえ、彼は関係がないし、それに時間が無いので…」
危険だと思ったのだろう。医師はまた厳しい口調で、
「じゃあこうしましょう。ツアーの間は今の薬にもう一種類たしますからそれをのんでください。
新しい薬は、気分が悪くなった時だけ、特に不安を感じた時だけのんで下さい。」
そして、鈴木には、ツアーの移動中にも寝かせるなど、とにかく休ませ、リラックスさせることに気を配るようにと言った。
さらには、カルテに何か書き込みながら、
「…彼氏のサポートが頼めないとなると…ツアーまで入院もねえ…」
「えっ…? 」
寮だとか、社長の家とか、下宿させてくれるところはありませんかねえ、
と医師は困ったように鈴木に尋ねる。
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