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第10章の17

 麻也は諒に背を向け、シャツの乱れを直しながら、ゆっくりと答えた。 「…俺の原動力に、復讐は入ってないよ。大翔くんのリークの件だって、 伊尾木さんがまだ子会社にいた時だしね。」 …言ってからも、諒がどう取ったのか気になったので、急いでつけたした。 「俺の原動力はみんなとの約束だよ。 諒、忘れちゃったの?  みんなでてっぺんまで行くって言ったじゃん。 諒が言うみたいに『てっぺんばかりがロックじゃない』っていうのは、俺も真実だと思うけど、 解雇されたヤツと大学生のバンドがここまで来たんだよ。 4人で一度、てっぺんの景色を見てみようよ。 それに、出元ったって、ウチの社長が契約関係はきちんとしてくれるんだから、トラブルはないよ。」 そこで麻也はようやく諒の方を振り返ることができた。 が、諒はまだ納得できないような表情をしていた。

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