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第10章の29
「お帰り。遅かったね。メシちゃんと食った? 」
と、近づくなり、わっ、タバコのにおい…と顏をしかめる。
「メールしたじゃん…例のバンドと打ち合わせておごってもらったって…あっ…」
…壁に押し付けられて、ディープキス。
(これ、絶対検査だよ…)
そして、強く腕を掴まれ、強引にベッドルームへ…
案の定、
「はい、麻也さん、検査ですよー。」
ベッドに押し倒される。
「諒! 俺、まだ、シャワー浴びてないのに…」
「いいよ別に。俺がタバコのにおい消したげる。
はい、脱いで脱いで…」
「ちょっと! これから別行動増えるんだから、
そのたびにこんなことやるわけ?! 」
「いいからっ! 」
「俺まだ仕事あるんだよっ! 」
「この時間じゃもうヤバいでしょ。
明日は最終打ち合わせあるし。」
腹が立った麻也は、ベッドの上で体を起こしながら、
「だからあ、こんなことさえしなければ…
それに、諒は俺に全面強力するって言ったじゃん! 」
腕組みをして見下ろしてくる諒は、
「そりゃするけど、今日なんて、こんなに遅くなるなんて聞いてないし、
例のバンドってどっちだよ。
それに、今日はアイドルとも会ってるはずだから、そっちの接待も合同かと思ったし。」
…要するに、ヤキモチと心配なのだ。
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