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第10章の39
「プロモーションビデオも3本あるし…」
と、真樹がつぶやいたところに須藤がやってきた。
「麻也さん、ちょっとすみません…」
と、廊下に連れ出そうとしたところで、諒が呼び止めた。
「須藤さん、どうしたの?
スケジュールの変更なら、みんなの前で言ってもらえない?
時短のために。それともナイショの話? 」
「いえ、ナイショではないですが、麻也さんに急な仕事が2つ入ったので。」
麻也は思わずへなへなと倒れ込んでしまった。
みんな笑うしかない…
「な、何でしょう…? 」
「あのう、これから、今日、急ではあるんですが、
スナイカーズの契約と顔合わせを申し込まれたんです。」
「スナイカーズ? 」
みんなピンと来なくて聞き返した
「ほら、あの、2世タレントのバンド。
ボーカルが17才の未成年なんで、早い時間にということで。」
「また未成年なの? 」
諒の何気ない言葉に、麻也は鈴音のことを思い出し、ちょっと不安になった。
(…またファンとか言い出したらどうしよう…)
しかし、自分のキャリアと年齢を考えれば、
プロデュースといっても、若い子が対象になってしまうのは仕方がないことで…
でも、それよりも直人の一言の方がこたえた。
「まだこの時間なのに未成年どうこう、っていうのは、かなり拘束されるんじゃ…」
麻也はまたへなへなとテーブるの上に倒れ込んでしまった。
「ちょっとお、須藤さん最後までついてって、兄貴を早めに帰してよ。」
「いや、そういうわけにも…」
仕方なく麻也は尋ねた。
「で、もう一つの仕事は? 」
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