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第10章の51
「諒、何か飲む…? 」
「…じゃあ、アイスコーヒーをマグカップにお願いします…」
諒はノートから目を離さない。また何か邪推でもされているのかと、
麻也は心配になりながらも、言われた通り、自分の青のマグカップにも、
諒の緑のマグカップにも、ペットボトルのアイスコーヒーを注ぎ、
諒の分を、諒のノートの脇に置いた。
それに2人とも口をつけたが、諒はあらぬ方を向いたまま無言…
今日のような時こそ、諒にかまってほしいのに…
「ねえ、諒…」
すると諒は、ノートとペンとカップを持って立ち上がり、自分の部屋へと移動…
「諒…」
(そんなに歌詞に入り込んでるなら、最初から自分の部屋にこもってろよっ…)
でも、麻也を出迎えたいとは思っていたのかもしれないが…
ドアが軽く閉まってしまい、やるせない思いで、麻也はまたリビングの白いソファに身を投げ出した。
そして、思わず口をついてこんな言葉が出てしまった。
「あーあ、何か寂しい…」
大声になって自分でもびっくり…していると、
閉まり切っていなかったドアがすーっと開き、
にんまりと笑った諒が、親指を立てて入ってきた。
「放置プレイ成功! 」
「何それ~!!! 」
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