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第10章の52
「だって麻也さん、絶対にかまってほしい日だと思ったんだもん。
出稼ぎ帰りで。当たりでしょ? 」
当たっているだけに腹が立つ。
「何だよ、諒こそ寂しかったんだろっ! 」
それでも、諒は余裕の表情で、
「おやぁ、諒クンにお話ししたいことはないのかなあ? 」
「むかつく~、その言い方! 俺、部屋で仕事するっ! 」
と、麻也が立ち上がると、諒は飛んできて、優しく抱き締めて唇にキスしてくれた。
そして、
「いや、実際のところどうだったの、今日の打ち合わせは? 」
いざとなると、麻也も話すのをためらってしまう。
あんまりなボーカル、人がいいだけのメンバー、
でも頼りがいのある先輩プロデューサー、
そして、作品はさっぱり売れそうにない…
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