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第18章の50★ミリオン獲りたい麻也王子
この日のリハーサルは、明日から始まる9枚目のシングルの最終リハーサルだった。
例のタイアップのようやく最後の3枚目だ。
今回のA面はもともと諒の曲だったので、プロデュースも諒と決まっていたのだが…
今回で何としてもミリオンヒットを獲得したいレコード会社と事務所が、ベテランプロデューサーとの共同作業を提案してきた。
それは、ディスグラの3枚目のアルバムまでを手掛けてくれた木内だった。
セルフプロデュースでミリオンを獲りたい気持ちもメンバーにはもちろんあったが、
「今回確実に勝ちを獲りにいけなければ、東京ドームのタイミングを逃すような気がする」
という高橋社長の言葉に、メンバーは動かされた。
その牽引役には、メンバーの個性を生かし、でも、別の視点からも見てくれる、気心知れた木内はうってつけだった。
...1か月ほど前に打ち合わせをしたときは、再会を喜び、いいムードで細部を決めていったのだったが…
スタジオに現れた木内は、諒と麻也の元気のなさにびっくりしているのが、
麻也にも伝わってきた。
諒はやつれているし、自分は動きがおぼつかない。
さすがの木内も直接訊くのははばかられたらしく、須藤に尋ねているようだった。
麻也も言葉はないので、挨拶だけ済ませると、するっと自分のポジションについてしまった。
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