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第18章の51★麻也王子も、大きな悩み

さすがにボーカルの諒には尋ねたのが聞こえたが… 「…諒くん、胃が悪いとか? 単なる疲労? 大丈夫かよ。」 すると諒は笑顔で、 「この曲で、歌詞の直しにすごく悩んだし、あと、 プライベートで結構大きな悩みを抱えてるんで…逆にボーカルに深みが出るかも…」 (…大きな悩みって…) 麻也の体は、まるで背後から鉄球で殴られたように勝手に動いた。痛かった。 木内が困ったように、頼むから倒れるなよ、と言っているのがぼんやりと聞こえた…  どうにか仕事を終え、下宿先である社長宅に帰り着いたのは当然深夜だった。 しかし、約束通り社長の次男の公彦くんと、その親友でこの家に居候している吉田くんの大学生コンビが優しく迎えてくれて、 何かと面倒をみてくれるので、少しは気がねもなくなる気がする。 …そして…生活時間が麻也に近い二人は、麻也が鈴木の電話で起こされる時間に、 様子を見にきてくれて、一緒に朝食…が、諒のあの一言が気になる麻也は、 二人の話に参加しながらも何も食べられない…と、そこに社長の奥さんがやってきて、 「あら、麻也くん、好きなものなかった? 」 と、他にあれやこれやと出してくれそうになるのを押しとどめ、野菜ジュースはどうにか… そして、ヨーグルトに手をつけたら、薬と思って…と言われてふた口分くらい足されてしまった…

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