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第10章の57

 リビングに移って、ソファに腰かけ、自分たちの初めての武道館のビデオを久しぶりに見てみる。 時折止めてみては、ネタ帳に気になることを書きとめながら… (諒と比べちゃうからダメだけど、まああの子もアイドル的な目立ち方はしているわけだし…) でも、彼らはアルバムリリースの後は、今のところ一般的なライブは予定されていない。 いわゆるインストアイベントで4曲くらいというのがいくつかで… とてもディスグラのようなわけにはいかないだろう。 残酷だし不思議な話だが、こんなにスタートに差をつけてもメーカーはアルバムをリリースするのだ。 麻也はつくづく自分たちの、努力が報われていることの喜びをかみしめる。 「うーん、諒はやっぱり華があるなあ…」 冬弥にも、諒のような華の萌芽のようなものが少しはあるのかもしれない。 二枚目俳優のDNAもあるのだろうし… 「それを最大限に伸ばす報告、かな…」 悲観している時間はないのだ。

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