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第10章の58
<かなわぬ恋>といえば、この時の諒は大翔の戸籍のために結婚していて、
麻也への<かなわぬ恋>を抱えていて…
「…こんなに近くにいるのに、指一本触れられなくて、
でも、<悪魔のキス>だけは許されて、か…」
諒のアップで画面を一時停止し、麻也がそんなことを書きつけていると、
黒のバスローブ姿の諒が、にこっと、ドアから顔を出してきた。
麻也は、とっさに照れくささのようなものを感じてしまい、
ビデオを止めようとして、あわててリモコンを取り落とす。
それで諒はすっかり怪しんでしまい、
「何見てんの? まさかエロビデオ? 」
麻也は思い切り笑顔で叫んでやった。
「うん! すっごいエロ! 」
諒は真っ青になって飛んでくる。しかし画面を見ると、
「何だ麻也さん、これならOK…って、実物だけじゃ足りなくなっちゃったのぉ? 」
と、満足げに言うなり、カーペットの上に座りこむと、
何となくいやらしい笑みを浮かべながら、ソファの上の、
麻也の、ジーンズに包まれた長い脚の付け根のあたりを眺める。
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