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第10章の62

(やっぱり、ここは諒の力を借りたい…) …と、意味ありげに諒の瞳を見つめてみた。 「ん? 麻也さん…? 」    唇を半開きにして、ちろっと舌をのぞかせ、瞳を伏せ… すると諒は、嬉しそうに抱き寄せて、耳元で囁いてくれた。 「どしたの? 俺が欲しくなっちゃったんでしょ?」 煽るために、恥じらいを漂わせて小声で囁き返す… 「うん…」 軽く仕掛けただけのはずなのに、諒の吐息、唇を受入れ始めると、 自分でも驚くほど諒が欲しい気持ちが高まってきた。 諒の手が麻也のシャツをたくし上げ、背中の素肌に触れた時、 麻也も諒の背に手を回さずにはいられなくなった。 が、そのまま、諒は耳元で、 「…ねえ…山口さんて、そんなにいい男なの…? 」 「…えっ…? 」 びくっ、と麻也の体は動いてしまった。 (やっぱり諒、カンがいい…) 当たらずと言えども遠からず。 とにかく表情を見られないように、 麻也はそのまま諒に腕を絡め続けるのがやっとだったが…

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