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第10章の63
「…麻也さん、黙ってちゃわからないよ。返事によっては俺…」
「諒、考え過ぎだよ。山口さんは普通のおじさんだよ。奥さんも子供もいるし…」
「じゃあW不倫? 」
「何でだよ…」
「…カモフラージュとか…」
「ほんとに考え過ぎだよ…俺は純粋に諒のことが、あっ…」
「麻也さん、その先は? 」
「…」
こんな風に追い詰められると、本心からの甘い言葉は、なかなか言えない性分で、
そしてさらに、あの事件を隠し続ける限り…
そう麻也がためらっていると、諒は麻也の額に自分の額をくっつけ、
「言って。麻也さん。」
「諒、この俺様に言わせるの? 」
冗談に紛らわせようと思ったが失敗だった。
すると、諒の緑色の瞳に落胆の色が見えてきたので、麻也はあわてて言った。
「諒のことが欲しいよ。俺様には諒しかいらないよ。」
すると、諒は口をとがらせて、
「これからも、1000人のオンナ共より諒クンだね? 」
不謹慎だが、麻也は答えに困ってしまった。
2人は「1人のおじさん」のことでモメていたていたはずなのに…
「うん。60億の人類の中で俺には諒だけ。もういい? 」
投げやりな口調から麻也の照れを読んだらしい諒はちょっと喜び、
でも足りないというように、強い力で麻也を抱き締めると、また囁いた。
「…この続きはカラダに聞かせてもらうからね…」
ベッドに押し倒されると、噛みつくような激しいキス…
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