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第10章の67
何より、「つりあいの取れた」というのもクセモノだった。
たとえば今、自分が大ケガでもして、これまでのようにギターを弾けなくなったら、
諒は今までのように自分を愛せるのだろうか。麻也はそんな風に思う。
そして、それは自分も同じことで、例えば声が出なくなったりして今のように歌えなくなった諒を、
これまでのように愛していけるのか…
改めて、
(愛って、何だろう…)
…と思った瞬間に、「これは使える! 」と思ってしまった作曲者の自分がいたが。
…でも…自分は諒を愛し続けるだろう。愛の形は変わるかもしれないけれど。
何より、諒は、自分を地獄から救い出してくれた大切な人なのだ…
麻也はそっと諒の頬に口づけると、諒の体を横たえた。そして、自分も横になると、諒に微笑みかけ、
「これからまたどんどん初めてのことに出会っていくんだろうね。
でも、俺は諒がいてくれるから頑張れるって思えるよ。」
すると諒も麻也の方に寝返りを打ち、麻也の頬を愛しげに指でなぞると、
「東京ドームで、俺は麻也さんと…宣言したい。」
「えっ? 何の? 」
「麻也さんは、永遠に俺だけのものです、って。その…ケッコンみたいなこと? 」
ビックリして、嬉しすぎて、麻也は冗談ぽく応えるしかなかった。
「ね? 東京ドームって夢がふくらむよね? 」
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