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第11章の2

諒は思わず熱い口づけを…でも、疲れている諒も麻也の唇の渇きと体の軽さで我に返った。 「麻也さん、ちょっと、せめて何か飲まなきゃ。何がいい? 」 あまり意識のなさそうなうつろな瞳で麻也の発した言葉は、 「諒…」 「えっ、こんな時に練乳ちゃん? 」 嬉しい、か? いや、これは違うぞ、きっと。 諒は我に返り、 「いやいやだめだめ、スポーツドリンクにしよう。 持ってくるから、ちょっと、体降ろすよ。」 すると麻也は諒の体を弱々しく押しのけようとしながら、 「いい、いらない。部屋に戻るから…降りてきたから! 逃げちゃう…」 アイデアが、絡まっていたものの答えが、ということなのは諒にもわかるが、でも… 諒は仕方なく体を離したが、 カーペットの上に両手をついて、肩で息をしている、ボロボロの天使の説得にかかった。 「麻也さん、数日後にはまた撮影あるから、体の中もきちんとしてないと困っちゃうでしょ? 」 そう言いながら、諒は急いで冷蔵庫からスポーツドリンクを取ってくると、 また、どうにか麻也の体を抱き取り、優しくボトルを口にあてて、飲ませてやった。 (<諒クンのため>は通用しないけど、オシゴト絡めると動いてくれるのは救いだよな…) と、諒が寂しくも内心ほっとしていると、麻也はボトルを押し返し、 「も、いい。戻る。」 「ちょっとここで休みなよ。歌詞なら俺、ノート持って来てあげるから。それともギター? 」 すると、麻也はすごくためらう表情を見せた。のは、 「ノート。」 だったからだ。歌詞は諒の方が定評が高いからなのだろう。

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