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第11章の9
共犯者とも言える麻也はしてやったりと大笑いしているだけで、諒はちょっと腹立たしいような、
でも、機嫌を 直してくれたようなのでほっとしたような…
エクレアもまだそこそこに立ち上がった真樹だったが、本当に怒ったわけではなかったらしく、
「ねえ、冷蔵庫の中、ちゃんと食いものとか入ってるの? さっきから心配だったんだけどさ。
何なら俺、食い終わったら買い出しに行って、カレーでも作るけど…
って、またルーな料理がかぶっちゃうか。」
「いやあ、やってくれたら嬉しい。助かる。」
「遠慮しないで開けてチェックして。麻也さんの救助用のスポーツドリンクもないんだ。」
「あ、ほんとだ。何にもないねえ…じゃあ食ったらすぐ行くよ。」
そう言って、またテーブルについてエクレアを食べ始めた真樹は、諒が安心する情報もくれた。
「そうそう、それで、直人は結局、社長の知り合いの会社から、中古のアウディを特別価格で買うみたいだよ。
先輩のロッカーたちには<フェラーリを買って一緒に走ろう>って言われてたのを振り切って。」
「でもアウディの方が、女の子には確かにウケそう。」
麻也の無邪気な様子に、諒と真樹はちょっと目くばせしてしまったが、麻也には気づかれなかったようだった。
「社長が慰めもしたの。メンバーはみんな若いから、一人くらいフリーがいないと、ファンが寂しがるって。」
「うーん…それって直人的にはいいのか…? 」
みんなで苦笑いしてしまった。
「まあね、確かに直人もがっくりきてたけど、いいんじゃない、あいつ、清楚なお嬢様タイプが好きだから、
アウディってアイテムも増えたところで、次はほんとの本命をゲットできるんじゃない? 」
「出会いは多いからね…」
「直人も、ほんっとに、問題のないヤツだしね…
俺のことを<売れないマンガ家>とか言わなければ…」
「…にしても、だーれも新車買わないのな。」
と、まとまったところで、真樹はまた立ち上がった。
「じゃあ、時間気になるからさっそく行ってくるわ。
今日はかーちゃん乗せてないから、マッハで帰ってこられると思う。」
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