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第11章の10
真樹が飛び出していくのを見送ると、諒はテーブルの片付けを始めたが、手伝おうとする麻也には、
「麻也さん、いいよ。ソファで少し休んで。」
「じゃあ、終わったら諒もね…」
その言葉に、スピードをあげてしまう諒であった…
真樹はいいと言っていたのだが、やっぱり2人は真樹が帰ってくるまでは休憩かたがたソファで待つことにした。
「真樹はね、実家帰った時はいつもオフクロのクルマで、
2人で買い出しに行ってたんだよ。だから、オフクロのクルマが一番楽なんだ。」
「麻也さんはついていかないの? 」
「俺、食材なんてどーでもいいからついて行ってもね…まあ、荷物多い時は荷物持ちについてったけど…
それより俺は、オヤジの送り迎えだな。オヤジのクルマで。何にもしないのは真樹に悪いし、あと、
長男だから、って、お寺とか神社とか色んなとこにオヤジは俺を紹介したがるんだよ。
ウチは古くからあそこの土地にいるから、付き合いがいろいろあるみたいで。」
「…跡取り息子だもんねえ…」
「…こんな長髪でもねえ…」
と、麻也は冗談に紛らわせたが、
こういう話をされると、諒は本当に困ってしまう。
自分は麻也たちの家のような旧家ではないし、自分に何かあってももう大翔がいるからいいようなものだが…
麻也は自分の遺伝子を持つ子供が、何らかの形で欲しくなったり、またそういう日が来たりはしないのだろうか…
諒が心配のあまり無言になっていると…
「えっ? 」
麻也の笑顔がみるみる近づいてきて…
…キス…
そして、
「今、寝ようとしてたでしょっ! 」
「いーえ、まさかっ! 」
ムキになって諒が否定すると、麻也は諒を抱き締め、
「眠たかったら、寝てもいいよ…」
「ね、眠くなかったら…? 」
ちょっとだけ、睡魔と戦いながら、諒は尋ねてみた。
すると…麻也は耳元で、
「何してもいいよ…」
「じゃあそっちにしますっ! 」
「えっ? ちょっと諒っ! あーれー…」
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