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第11章の12
マンションの地下の駐車場に諒が一人で降りてみると、
大きなレジ袋を4つ、真樹がクルマから出し終えたところだった。
近所で人気の高級スーパーのその袋が置かれている後ろには、ピカピカに磨かれた白のクラウン…
「あー、これは恵理ちゃん喜ぶねえ…」
「だろっ? 」
と、真樹は得意げだったが…
荷物を持ってエレベーターに乗り込んで2人きりになると…
「あさってはよっぽどのことがない限り、ここにお2人のクルマ持ってくるから。」
「やー、ほんとありがとね…」
すると真樹は何とも言えない表情で、横に立っていた諒を見つめ、
「ま、ベンツ王子の華麗なハンドルさばきを堪能してよ。
もともとは運転のセンスはあるヒトだから。」
その発言の意味が解らなくて、諒は真樹の顏を見てしまった。
「前のバンドから実家に戻ってきた時、兄貴は運転下手になってたよ…
だから、あんな…愛人にさせられてポルシェがどうとか、マンションがどうとかなんて、
俺は嘘にしか思えねーもん。そんな人間じゃないし。」
「麻也のいやな噂」をまた急に思い出させられて、諒は動揺した。
が、その話をしたくて、真樹は諒にだけ声をかけたのだろう。
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