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第11章の13

 諒が何も言えぬまま玄関に着くと、麻也が笑顔で2人を出迎えてくれたが… 「…どうかした? 」 よっぽど2人、浮かない顔をしていたのだろう。 諒が答えに困るより前に、真樹がさらに困ることを言いだした。 「…なんか、さっき、スーパーでさあ、怪しそうなヤツがうろうろしてて、困っちゃっんだよ。」 「えっ…? 」 「先に隣の本屋に寄って、いつものビジネス雑誌を買って、店を出たワケよ。 そしたら、入る前から店の前にいた男が、まだいて、俺の顏チラチラ見てて… ファンとかそんなんじゃない感じで、後をつけてきたかもしんねえ …写真は撮られてないと思うけど…」 玄関先で男三人、立ちつくしてしまった。 このムードを変えようと、諒は言ってみた。 「写真撮ったところでねえ…発覚するのは、諒クンの<兄弟どんぶり>? 」 前と後ろから、同時に兄弟の手が諒の頭に飛んできた。頭を抱えながら、 「痛っ…でも、さすが兄弟、タイミングいいねっ!」 すると真樹の方もムキになり、シャツのボタンを外しながら、 「口が減らねえなぁ。ほら、食ってみろ? 美味いぞぉ~…」 麻也の目は座っていて、 「諒、食ったら殺す! 」 でも、それはもちろん冗談交じりで… 「恵理ちゃんに電話するっ。諒とやってますよ~って…」 「いや、兄上、それだけは! 」 「それよりパパラッチ対策でしょ! 」 すると、麻也の目が突然輝き、 「パパラッチ! いいねえ! 歌詞に使お…」 「あ、だめ、それ俺も使う…」 「そんなこと言うなら、今夜もオカズだけになるよっ!」 「兄上、ご飯はワタクシがカレーを…」

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