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第11章の16

 アイドルの鈴音や冬弥のプロジェクトがやや遅れているのを幸い、 麻也の締め切りも延ばせるものは延ばしてもらい… 家の中では、麻也ほどではないとはいえ、多忙な諒も、麻也をサポートしていたのだけれど…  5枚目のシングルの先行プロモーションが始まった直後くらいから、その異変は始まった。  諒が朝目覚めると、隣に麻也がいない。  早く目が覚めたのかと思って、諒は今日来ていく服を急いでひっかけてから、麻也をリビングに探しに… すると、昨日の服を着て、ソファで眠っている麻也の姿があった。 (ゆうべもハダカで寝たはずなのに…何もできなかったとはいえ…あれぇ…)  まあ、取りあえず、体を揺さぶってみた。 「麻也さん、時間だよ、起きて。」 …もちろんこれぐらいで起きる麻也ではない。  しかし、諒は喉が渇いていたので、ちょっとミネラルウォーターを飲もうと冷蔵庫を開けた。 …と、何か違和感が… …ビール、少なくない? (麻也さん、まさか起き出して仕事して、その後に飲んだとか…) あんなに遅い時間に寝たのに…そしてシンクには確かに350mlの缶が3本あって… 諒は何だか心配になって、今度は強く、麻也の体を揺さぶった。

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