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第18章の62★麻也王子の右腕?
ガラスのドアを開けて入ってきた直人が、
「おっ、兄上、起きた? 今日こそ諒とデートでもしてやって。」
「あ、ああ…」
どう答えたものか麻也が困っていると、直人は、
「えっ? ええーっ? 」
「直人、うるさいって! 」
後から入ってきた真樹に怒られても直人はめげず、
「にーちゃん、にーちゃん、兄上と諒はゆうべデートしたの? 」
「聞いてねえよ。でも、だったら諒はあんなにしおれてねえんじゃねえの。
なあ、兄貴? 」
「…」
麻也は、口は開けたものの絶句し続けた。
「兄上、えーっ? 」
「そんな体力あって安心したよ…」
それでも麻也は言葉に困ったが、まず真樹に向かって、
「ごめん、そこまでの体力は今の俺にはない。だったらここで寝てないよ。」
そして、直人には、
「報告しなくてごめん。まずは転送ありがと。
それで諒が飛んできてくれたんだけど、気まずくて、話もできなくて…」
…そこに、唇を噛み締めた諒が早足で入ってきて、
冷やかな表情でさっさと荷物をまとめると、廊下へのドアへ…
居合わせたみんなが驚いて固まりかけたが、
「諒、忘れ物! 」
そう言って直人が差し出したのは、麻也の右腕だった…
が、諒はちらっと見ただけで、不機嫌そうに部屋を出て行ってしまった…
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