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第11章の23
「諒、怒るなって…兄貴はこの仕事の一瞬一瞬に賭けてるの。」
真樹にまでそう言われたが…まあ、実の弟にとっても、この兄のセクシーさは微妙なところだ。
若手の実力派アーティスト、なんて呼び名がついていなければ、とても我慢できるものではなかっただろう。
そして、ボブの下心はあまりにもオープンで、むしろ扱いやすい、か…?
しかし、さすがに腕組みしながらの石川からも笑みも消えた。
「ちょっと、忙しいモデルなんだから、もうそろそろやめなよ…」
とさっきまで使っていた自前のポラロイドの後継機、最新のデジタルカメラの機材を、
アシスタントに目くばせして、片付けさせてしまった。
そのカタカタいう音で集中力が途切れたらしいボブが振り返ったところで、石川は、
<ボブ、もう彼らは次の仕事が押してるから、終わりにしなよ>
するとボブは残念そうに、
<そうだよね。わかったよ。>
それを見た石川は、
<じゃあ、巨匠ボブ・マクディミリアン、最後にマヤとリョウのラブラブショットを撮ってあげなよ>
<は? >
<言ったじゃん。二人は恋人同士だって。>
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