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第11章の26
思えばまだ若いディスグラが、デビューから2年くらいで、
ここまで売れたことを除けば…麻也の人生はこれからも多難に思えた。
(出稼ぎで嫌な思い増やして、これでミリオンに届かなかったらどうなるんだろう…)
そこで麻也は廊下に諒の気配を感じ、ドライヤーを手に取ると、髪に冷風をあて始めた。
これも仕事のうち…あんまり嫌なことは考えないことにする。
普通の男女の夫婦だって、年齢を重ねても素敵なカップルというのは存在するのだから…
「…俺も頑張ろう。諒のことは絶対に失いたくないし…」
でも…目前の問題が…
(また今夜も眠れなかったらどうしよう…飲めば諒には叱られるし…)
このままじゃ諒に嫌われる…
かといって、また医者に行くのは、自分の精神的な弱さを認めることになる…
その時ドアが開き、笑顔の諒が、ミネラルウォーターのボトルと、
もう一台のドライヤーを持って入ってきた。
「麻也さん、もうこんな時間だから、ドライヤー手伝うよ。」
嬉しいとは言ったけど…今夜はちょっと違うこともねだりたくなってしまう。
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