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第18章の64★隠し事に支配される麻也王子
麻也が諒に連れていかれたのは、やはり二人のマンションだった。
数日ぶりなのに、懐かしく、でも諒とは気まずく、
麻也はリビングにたたずむばかりだった。
ようやく諒が、うつむき加減で、
「麻也さん、いつ頃ここに戻れそうなの?」
思わず体調のことを話してしまいそうになった麻也だったが、あわてて嘘をついた。
「…社長次第…かな…」
ずっと隠し事に支配されている麻也は嘘を並べた。
諒に質問させないためにも。
「…社長に俺、すごく疑われたから…
それで軽く軟禁…て感じだから...」
「はぁ? 何それ...」
「もう少しでクビとか、レコーディングから締め出されそうにもなったし...」
「...あの、社長が? 」
さすがの諒も驚いていた。それをいいことに麻也は、
「引き抜きなんて、俺、ディスグラに入ってから一回も誰にも直接言われたことなくて。
でも、社長の耳にはそうは伝わらなかったみたいで...」
そこまで言うと、麻也は、
「だから、残念だけど、もうあっちに戻るね。
でも諒に...」
そう言いかけた時、麻也は近づいてきた諒の胸に抱きとめられていた。
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