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第11章の30

 ただ、この日の最後の仕事が諒と別だったのはちょうどよかった。  鈴木から、例のポラロイドカメラの入った、家電量販店の大きな袋を渡されたからだ。 あと、やや使いこんだような黒のカメラバッグも渡された。 電話では聞いていたが… 「これ、本当にもらったの? 」 「ええ。石川さんが、どうしても昨日のお詫びにって。中身は買って間もないポラロイドだそうで…」 フォトセッションの試し撮りを、石川はポラロイドからデジカメに切り替えており、これが余ったという。 「麻也さん用にするとか、あと、諒さんが撮影する時、白黒とカラーで1台ずつにすると便利かもって言われました。」 「うん。諒に提案してみるよ。忙しいのにどうもありがとう。」  家の近所のコンビニで買ったワインを自分のバッグに隠して、玄関に着くと、 諒がいつものように出迎えてくれて… 「麻也さん、どうしたの、その荷物…? 」 「諒にプレゼント。はい。」 「えー、こんな大きい袋、何だろう…? 」  リビングのテーブルの上で、諒は慎重に包みを開け… 「えー! すごい! カメラ?! どうしちゃったの、麻也さん、高いでしょうに…」

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