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第11章の32

「秘密かあ…なんかいい響きだね…」 職業柄、いやというほど写真というものは取っているし、あちこちに残る。 でも、それはファンのため、仕事のためという写真であって、 何より、諒と2人の恋愛生活の記録は何もない。 たまに、石川たち、なじみのフォトグラファーが気をつかってくれて、 ツアー先なんかで2人の雰囲気がいい時に「プライベート」写真を提案して撮ってくれたりもするが、 やっぱりそれは素に近い表情と言ってもよそゆきの顏だ。 まあ、男同士のカップルにも「思い出のアルバム」が必要なのかは麻也にはわからないが… 女の子なら、友達同士のものでも写真を大事にするようだけれど… でも、大翔の写真ばかりが将来、諒の手元に残るのも何だか寂しい… その先、トシを取ったら…なんて年齢は想像もつかないが… (ふふっ、大翔君には提供できない<愛>が、俺には提供できるもんね…) 麻也はかすかに笑みを浮かべたと思う。それを見て安心したらしい諒が、 「ね、そういうの、必要だよ。これまでもらったのも整理するけどさあ、 このカメラでイチから作ろう。」 「うん。じゃあ、まずはおべんと食べながら大まかな構想でも…」 すると、諒はとぼけた様子で、 「うん。まずはどういうヌードを麻也さんが望んでるかだね。さ、おべんと…」 と、カメラを持ったまま立ち上がる… 「ちょっと、もしもし、諒…」

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