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第11章の34

すると諒はグラスを置きながら、さりげなく話をそらし、 「まあ、まずは機材のテストをしなくちゃね。 それに、俺、ちょっと用意するものを思い出したから、 それができるまではほんと、スナップ写真的な 練習かな…」 「何、その用意するものって…? 」 麻也はどんどん不安になっていって尋ねる。 が、諒はにっこりと笑って、 「ひみちゅ♪ 」 「何それ…」 「それよりさあ、麻也さん、撮影が控えてるから早く食べちゃおうよ… 明日はシングルのレコーディングなんだから、何でも前倒しで…」 「せっかくのいいワインなのにい…っていうか、 そんな大事な日に新しい趣味を始めなくてもいいじゃん。」 「だって、麻也さんからの大事なプレゼントだもん。すぐに使いたくなるでしょうが。」 …麻也も、そんな諒の姿が嬉しくて、密かに喜んでいた。  

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