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第11章の36
メンバーにはやりづらいことに、次の日は、スタジオ入りの前に1本、音楽雑誌のインタビューが入っていた。
麻也は顏にむくみは出なかったものの、やはり諒に飲酒を心配されて、
やや険悪な感じになったのを隠しながら、みんなとレコード会社の会議室に入った。
インタビューの担当は、いつものベテランライター・柴田だったが…
本題に入る前に、大声で、大興奮で、諒に大事件を知らせた。
「諒くん、大変! <ビアズリー>のベルネ君が、君と対談したいって言ってきたんだよ! 」
「えーっ! 」
諒は立ちつくすばかりで言葉が出ない。直人や真樹に、よかったじゃん…と祝福されても…
麻也は完全に蚊帳の外…を決め込んだと言うべきか。
「言っちゃあなんだけど、<日本のデビッド・ボウイ>の新旧対決、って感じだよ。」
と、柴田が言うのに、
「それより、1号、2号、みたいな? 」
と、直人は言い、
「仮面ライダーじゃねえんだから。」
と、真樹は大学のサークル時代のように突っ込むが、麻也はそっぽを向く。
ベルネ、という人物は、本当に、諒がデビューするまでは「日本のデビッド・ボウイ」の名を独りほしいままにしていた、
超美形ロックボーカリスト。
パンクやグラムロック、ニューウェーブ、ポジティブパンクなどさまざまな音楽を融合させ、
退廃的な<ゴシックロック>というジャンルを確立したカリスマなのだ。
年齢は諒より10才上の34才。身長は麻也くらいでプロポーションも美しい。
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